The previous night of the world revolution~P.D.~
「綺麗なお花ね、ありがとう」

「いいえ。すぐ入れ替えますね」

私が持ってきた花束を見て、にこりと微笑むアシュトーリアさんの笑顔に、私はホッと胸を撫で下ろした。

顔色も悪くない。声も快活だ。

順調に回復していると言って良いだろう。

そして。

そんな、アシュトーリアさんの傍らには。

「…zzz…」

シュノが、ベッドに突っ伏すようにして寝息を立てていた。

なかなか戻ってこないなと思ってたら、寝落ちしていたらしい。

「起こさないであげてね。一晩中、私のお世話をするんだって張り切って…」

と、アシュトーリアさんが言った。

「分かってますよ」

起こすつもりはない。このまま寝かせてあげるつもりだ。

だって、見てみると良い。シュノの、この安心しきった寝顔を。

とてもじゃないが、起こす気にはなれない

アシュトーリアさんが回復して、『青薔薇連合会』に戻ってきて。

恐らく一番喜んだのは、このシュノだ。

裏切った振りとはいえ、ルレイアがサナリ派に行ってしまい。

母親代わりのアシュトーリアさんも、大好きなルレイアも傍にいなくなって。

シュノの意気消沈ぶりと言ったら、倒れてしまうんじゃないかと心配になるくらいだった。

しかし、こうしてアシュトーリアさんが『青薔薇連合会』に戻ってきた。

涙を流して喜んだシュノは、任務で外出するとき以外、ずっとアシュトーリアさんの傍にくっついている。

余程寂しかったのだろう。

とはいえ、まだルレイアが戻ってきた訳じゃない。

まだまだ寂しいに違いないが、それでも少なくとも、アシュトーリアさんは帰ってきた。

私もようやく、少しホッと出来たよ。
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