The previous night of the world revolution~P.D.~
それならそうと言えば良いものを。

この場にいるのは、セルテリシアを『青薔薇連合会』の首領として担ぎ上げようとする者ばかり。

まかり間違っても、「アシュトーリアさんが無事で良かった」などとは言えない。

大体、ルーチェスがセルテリシアに話を聞いたところによると。

アシュトーリアさんの暗殺が失敗に終わったのは、セルテリシアの指示だったそうじゃないか。

わざと急所を外させ、暗殺する振りをするに留めるよう、暗殺の実行犯に命じた。

そこまで自分が首領になりたくないのなら、そう言えよと思うけど。

小娘には無理なんだろうな。

こちらも、親の七光りリーダーであることに変わりないし。

この組織、無能が多過ぎる。

「…失敗したものは仕方ありません」

セルテリシアは白々しくも、私は関係ありませんみたいな顔で言った。

いや。失敗したのはお前のせいなんだからな?

「また策を練り直して、時間をかけて次の作戦を…」

そうやって「時間稼ぎ」をすれば、サナリ派の熱が冷め、セルテリシアの首領にしようとする動きも収まるのではないか。

そんな浅知恵を巡らせたのだろうが、そうは問屋が卸さなかった。

だって、サナリ派はもう動き出してしまったのだから。

歩き出し、走り出してしまったからには、どんな形であれゴールまで辿り着かなければ。

途中棄権は許されない。

「何をおっしゃいます、セルテリシア様」

案の定、古参幹部の一人がセルテリシアに抗弁した。

「策を練り直して…など、悠長なことをしている暇はありません」

「そうです。こうなってしまったからこそ、迅速に行動する必要があるのではないですか」

「…え…」

幹部二人に責めるような口調で言われ、セルテリシアは困った顔で言葉に詰まった。

全く、どっちがリーダーなんだか。
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