The previous night of the world revolution~P.D.~
「迅速に…行動?何を…」

「良いですか、セルテリシア様。アシュトーリア・ヴァルレンシーが戻ってきたなら、あの女は今頃、暗殺事件の犯人を探しているはずです」

身の安全が確保されたら、次にアシュトーリアさんがするべきことは何か。

自分をこのような目に遭わせた、暗殺事件の犯人を探し出し、吊し上げ。

そして、報復する。

それがマフィアのやり方というものだ。

で、暗殺事件の犯人は誰か。

言わずもがなだが、今この場にいる連中だ。

「奴らが調べれば、すぐにサナリ派の犯行だと気づくでしょう」

って言うか、調べるまでもなく分かってると思いますけどね。

アシュトーリアさんが襲われて、真っ先に嬉しそうに「挨拶」しに行ったんだから。

おまけに、あんなにクソ生意気に「我こそは次期首領に相応しい」と宣言しちゃって。

あのときのムカつく小娘と、今俺の目の前にいて、おどおどと言葉に詰まる小娘が同一人物だとは。とても思えませんね。

自信がないなら、あんな芝居しなきゃ良いものを。

「そうなれば、奴らは難癖をつけて『ブルーローズ・ユニオン』を弾圧するでしょう」

「…それは…」

「本気で新『青薔薇連合会』派と真正面からぶつかり合ったら、いかに『ブルーローズ・ユニオン』と言えども、痛手を負うのは間違いないでしょう」

痛手を負うだけで済むとでも?

自信過剰にも程がある。

貴様らのような無能幹部が束になって、『青薔薇連合会』の精鋭達に勝てると思ったら、大きな間違いだ。

だが、『青薔薇連合会』と『ブルーローズ・ユニオン』がぶつかり合うのは、俺としても避けた方が良いと思う。

『青薔薇連合会』の二大組織が争い合えば、それはつまるところ内乱であり。

そして内乱が起きれば、どちらが勝つか負けるかは関係なく、組織全体の弱体化に繋がる。

内心火花を散らし合っていたとしても、穏便に事を済ませられるなら、そうした方が良いのだ。

俺達の敵は、サナリ派だけではないからな。

『青薔薇連合会』が内部で喧嘩し合い、組織の勢力が弱まったところを一気に叩き。

漁夫の利を狙おうとする輩は、国内外問わずいくらでもいる。

敵が多くて大変ですよ。俺はこんなに善良なのになぁ。
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