The previous night of the world revolution~P.D.~
これがもし、『青薔薇連合会』の幹部会議であれば。

ルリシヤかルーチェスか、アイズ辺りが顔をしかめ。

「それは難しいんじゃないかな…」と反対意見を口にしていたところだろう。

しかし、ここは『ブルーローズ・ユニオン』である。

そしてここに集まっているのは、親の七光りで幹部になっただけの無能集団。

「もう一度暗殺…か…」

悪くない案だとばかりに、真剣な顔で思案している。

先生、ここに馬鹿がいます。

笑いそうになるのを、必死に我慢しなければならなかった。

危ない危ない。

「やり損なったなら、今度こそ確実に仕留めるだけです。生還したばかりの今なら、彼らの警戒も緩んでいるでしょう」

俺は真面目くさってそう言ったが、勿論本心では全く違う。

むしろ逆。生還したばかりだからこそ、最大限に警戒しているはずだ。

が、俺があまりにも自信満々に言うものだから。

エペルやミミニア達でさえ、疑う様子を見せない。

「…悪くないとは思うが、妙案と言うにはいささか稚拙だな」

とのこと。

何だと?素直に認めろよ。俺の意見が正しいと。

張り合おうとするな。

「一度暗殺されかけたんだ。おまけに、お前達幹部が『ブルーローズ・ユニオン』に寝返ったことも、奴らは既に知るところだろう」

「でしょうね」

「当然、アシュトーリア・ヴァルレンシーも護衛の数を増やしているはずだ。その隙を突いて再び襲撃するのは、口で言うほど簡単ではないだろう」

へぇ。

一応あなたは、そのくらいの頭は回るんですね。

さすがはセルテリシアの摂政様。

そこで口をポカンと開けて聞いているだけの、無能七光り幹部様とは一味違う。

まぁ、『ブルーローズ・ユニオン』にも、少しくらいは頭の回る奴がいないとな。

『青薔薇連合会』最大の系列組織の名が泣くというものだ。

しかし、もう少し知恵を働かせると良い。

「誰が、アシュトーリア・ヴァルレンシーを暗殺すると言いました?」

「…何?」

お望みなら、言ってあげますよ。

あなた方にとっての「妙案」。俺達にとっての「愚策」をね。

「次のターゲットは、アイズレンシア・ルーレヴァンツァです」

さぁ。これでどうだ?
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