The previous night of the world revolution~P.D.~
それにしても、『青薔薇連合会』本部は俺にとって、自宅と言っても過言ではないのに。

そんな俺の「実家」に行くことを、乗り込むという言い方をする日が来るとは。

人生って分からないものですね。

実質俺は今、『青薔薇連合会』から、「二度とうちの敷居を跨ぐな!」と言われている状態ですから。

絶縁ですよ、絶縁。いやぁ切ない。

好きで出ていったんじゃないんですけどね。

「乗り込むだと…?『青薔薇連合会』本部に?」

「えぇ」

俺は名案だと思っているのに、エペルとミミニアは眉をひそめていた。

ちょっと警戒させてしまったか?

「…我々を『青薔薇連合会』に誘導して、罠でも張ってるんじゃないだろうな」

ぎくっ。

たまに鋭い読みをするの、やめてもらえませんか。

それに、罠を張ってはいないと思いますよ。

ただ『青薔薇連合会』本部には、俺の真の仲間達が待ってるってだけで。

「言いがかりはよして欲しいですね。俺だって、それなりの考えがあって言ってるんですから」

「なら、そのそれなりの考えとやらを聞かせてみろ」

うるせぇ。偉そうに。

「外に出るタイミングを見計らっても無駄です。それはアシュトーリアさんのときに一度使った手口ですから」

二度も、同じ手口が通用すると思うなよ。

「アイズレンシアさんにしてもアシュトーリアさんにしても、不用意に外には出てこないでしょう。仮に出てきたとしても、暗殺なんて許してくれないはずです」

それこそ、歩くバリケードを護衛につけて移動するだろう。

「だが、アシュトーリア・ヴァルレンシーは容易く…」

アシュトーリアさんのときは、比較的簡単に暗殺を狙えた。

だからアイズも簡単に暗殺出来るだろう、って?

それは馬鹿の発想ですよ。 

「アシュトーリアさんのときは一回目だったでしょう。今度は二回目です。当然対策されているに決まっています」

「…」

「いかに策を講じても、最大限警戒した『青薔薇連合会』の幹部に、容易く手を出すことは出来ません。当然ですが」

むしろ返り討ちに遭う可能性すらある。

俺達としては、『ブルーローズ・ユニオン』の連中が不用意に突っ込んでいって返り討ちにされるなら、それはそれで万々歳なのだが。

「ですが、『青薔薇連合会』本部にいるときなら?外に出るときほど警戒はしていないでしょう。まさか我々が乗り込んでくるなど、予想もしていないのでは?」

大切なのは、相手の虚を突くことですよ。

いかに『ブルーローズ・ユニオン』と言えども、物量では『青薔薇連合会』に勝てない。

『ブルーローズ・ユニオン』に勝ち目があるとしたら、それは闇討ちしかない。

そして闇討ちをする為には、相手の意表を突き、混乱を招き、その混乱に乗じて相手の首を獲る。

定石ですね。
< 576 / 634 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop