The previous night of the world revolution~P.D.~
それにしても、残念だ。

俺の隣にいるのがミミニアではなく、いつものルルシーであったなら。

この不気味な雰囲気を逆手に取って、「足元が暗いから」という理由でルルシーの腕を組み。 

「いやーん怖いですよぅ」とか言って、ルルシーに抱きついてスリスリするチャンスだったのに。

こんなつまらない女とじゃ、そういうロマンスが生まれませんよ。

本当につまらない。

「…」

チラリとミミニアを見ると、相変わらずの仏頂面で俺の後をついてくる。

折角俺が話題を提供しているというのに、無視ですか、無視。

全く、無愛想にも程がある。

「あなた彼氏いないでしょ」と言いたいところだったが、喧嘩になるのでやめておく。

「俺自身、この隠し通路は使ったことがありません。知識で知っていただけで…」

ミミニアが返事をしなくても、俺は喋り続けた。

何も疚しいことはないと証明したかったし、黙っていると気が詰まるからな。

「『ブルーローズ・ユニオン』の本部にも、こんな地下通路があるんですか?」

と、こちらから質問したというのに。

「…」

無視ですよ。酷くないですか?

聞かれたんなら答えましょうよ。うんとか、はいとか、イエスとか。

もう良い、気にするな。

ミミニアの返事なんて期待せず、勝手に喋ろう。

「末端の構成員も知っている地下通路と、幹部クラス以上が知っている地下通路があって…」

と、俺が言いかけたとき。

「そんなことはどうでも良い」

いかにもイライラした口調で、ようやくミミニアが口を利いた。

ちゃんと喋れたんだな。

あんまり口利かないから、緊張のあまり喋れなくなったのかと思ったよ。
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