The previous night of the world revolution~P.D.~
『ブルーローズ・ユニオン』の連中が、『青薔薇連合会』本部の地下通路を使っているのは。

まず間違いなく、ルレイア達が情報提供したからだろう。

それは別に良い。予測範囲内だ。

でも気になるのは…。

何故ルレイア達が、わざわざ末端構成員でさえ知っているような「単純な」秘密通路を使っているのかという点だ。

ルレイアもルルシーもルーチェスも、この間まで『青薔薇連合会』の幹部だったのだ。

幹部しか知らない、もっと「難しい」秘密通路を使うことも出来たはず。

さすがに幹部クラスしか知らない通路を使われたら、こうして事前に察知することは出来なかった。

誰にも気づかれずに、こっそり『青薔薇連合会』本部に潜入することだって出来たはずだ。

それなのに何故彼らは、わざわざ見つかるような通路を選んできたのか?

その答えは簡単だ。

「…見つけて欲しかったから…だろうね」

これはメッセージだ。

ルレイアから、私達に。

「こうして今から『青薔薇連合会』本部に行くから、準備をしておいてくれ」と。

言葉を一切使わずに、私達に警告してくれているのだ。

彼らが潜入してくることが分かっているなら、例え僅かな時間であったとしても、対策を立てられるから。

ルレイアが私に、正しい…適切な判断を望んでいるのだ。

…全く、君の期待に応えるのは荷が重いよ、ルレイア。

「来訪の目的は、恐らく暗殺だろうな」

ルリシヤが、躊躇うことなく口にした。

…私もそう思う。 

「…え…。暗殺…?」

「遊びに来てくれたんじゃねーのか!?」

シュノとアリューシャが、揃ってこちらを振り返った。

さすがに、遊びに来た訳じゃないと思うな。
 
そうだったら嬉しいけどね。

「ま、まさか…今度こそアシュトーリアさんを…?」

「マジ!?あいつらそんなことしに来たのか?」

「で、でも。アシュトーリアさんが戻ってきたことを、どうしてサナリ派が知ってるの?」

さて、本当に知ってるのかな?

知っていてもおかしくはない。

「彼らの情報網は、私達に負けず劣らずだよ。何処からか情報が漏れていた可能性は充分ある」

壁に耳あり障子に目あり、って奴だね。

『ブルーローズ・ユニオン』も、諜報活動には力を入れているようだし。

ましてや、今の『ブルーローズ・ユニオン』にはルレイア達がいるんだから。

彼らがどんな曲芸師じみたことをしても、不思議ではないと思うよ。

「そんな…。…守らなきゃ。私がアシュトーリアさんを…!」

シュノは両手を握り締めて立ち上がった。

「おうよ、今度はやらせねぇぜ!例えルレ公達が相手でも…。…相手でも…?」

自信をなくしたのか、ちょっと首を傾げるアリューシャ。

そして、一言。

「…ルレ公達って、マジで暗殺の為に来たのか?」

それは良い質問だと思うよ、アリューシャ。

「…どうだろうね」

ルレイア達の真意を計りかねたら、彼らが折角侵入を知らせてくれた意味がなくなってしまう。

ここは真剣に考えるべきだ。
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