The previous night of the world revolution~P.D.~
ルレイアもルルシーもルーチェスも、今は『ブルーローズ・ユニオン』の味方をしているけど、それはあくまで振りだけだ。

本当に裏切った訳じゃない。

つまり、彼らは私達の味方なのだ。

なら、本気でアシュトーリアさんを暗殺する気はないはず。

それなのに、わざわざ側近二人や、セルテリシア本人まで連れてきた。

彼らの意図は、一体…。

「俺が思うに、アシュトーリアさんを暗殺するというのはミスリードで、本当の目的は他にあるんじゃないのか?」

ルリシヤが、私の疑問をそのまま口にしてくれた。

君も同じ疑問に辿り着いたか。さすがだね。

「み、み…みすりど…?」

ミスリードね、アリューシャ。ミスリード。

「どういう意味なの、ルリシヤ…?」

困惑した表情のシュノが尋ねた。

「アシュトーリアさんの暗殺を目論んでいる…と見せかけて、本当の目的は別なんじゃないか、ということだ」

「本当の目的って…?」

「さぁ、そこまでは…。だが、アシュトーリアさんの暗殺が不可能に近いことくらい、ルレイア先輩だって百も承知だろうからな」

そうなんだよ。

ルレイアは馬鹿じゃない。私と同じ…いや、私以上に頭が回るくらいなのに。

見ての通り、現在アシュトーリアさんの周りには、『青薔薇連合会』の幹部が四人もいる。

私はろくに戦えないから、頭数に入れられないとしても。

シュノもルリシヤも、アリューシャだっているのだ。

それに、準幹部のルヴィアまでいる。

この盤石の体制を、いかにルレイアと言えども、簡単に崩すことは出来まい。

ましてや…今のルレイアは、ルルシーじゃなくてセルテリシアの側近を連れてるんだろう?

ルレイアは確かに恐ろしいけど、ルルシーがセットじゃないなら、まだ何とか勝てる希望はある。

わざわざ三手に分かれて、戦力を分散させるような真似をした意図は?

わざわざ分かりやすい地下通路を使って、私達に考える時間を与えた理由は?

それに、セルテリシアまで同行しているのは何故なのか。

本人に確かめた訳じゃないし、これはあくまで憶測でしかない。

憶測でしかない…けど。

もしかして、ルレイア達の目的は…。

「…アシュトーリアさんじゃなくて、私かな?」

「…その可能性は高いわね」

アシュトーリアさんも、私と同じ結論に辿り着いたようだ。

ルリシヤも同様であるらしく、私の意見に頷いた。

そっか。

アシュトーリアさんが狙われるより、余程気が楽だね。
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