The previous night of the world revolution~P.D.~
――――――…こちらは、ルレイア&ミミニア組。

丁度、『青薔薇連合会』の「歓待」を受けているところです。

…成程、そう来ましたか。

これは…お互い心穏やかじゃない展開ですね。

「こんなところまで、遥々何をしに来たの?」

素晴らしくセンスのあるゴスロリワンピースと、お揃いのヘッドドレスを身に着けた。

あなたのことは…よく知ってますよ。

「…久し振りですね、シュノさん」

俺は、目の前にいる女性にそう声をかけた。

相変わらず、服のセンスが素晴らしいですね。

まさか、あなたに拳銃を向けられる日が来るとは。

俺が『青薔薇連合会』に入ったばかりの頃。まだあなたの信用を得られなかった頃のことを思い出しますね。

なんて…懐かしい昔話に花を咲かせている場合じゃないか。

「何をしに来たのかって聞いてるのよ。…裏切り者のあなたが」

シュノさんは憎しみのこもった目で、俺を睨んでいた。

本当に裏切った訳じゃないのは、お互い承知の上。

このやり取りは言わば、ミミニアに対するパフォーマンスのようなものだ。

それは分かっていても、やはりこのような会話をするのは、お互いにとって精神衛生に良くないな。

冗談でも、こんな物騒な話はするべきしゃないってことだな。

「さて…何でしょうねぇ。ご丁寧に待ち伏せしてたんだから、おおかた予測はついているのでは?」

「っ、ふざけないで!」

問答無用で殴りかかられなくて良かった。

正解ですよ、シュノさん。

ここでこうして、無意味な会話をすることによって、僅かでも時間を稼げるからな。

しかし、当然ミミニアにとっては面白くない事態だ。

「この女…ヴァルレンシー派の幹部か」

ミミニアは、舌打ち混じりにそう言った。

えぇそうです。シュノさんって言うんですけどね。

見ての通り、服のセンスは抜群で、おまけに美人なんですよ。

『青薔薇連合会』唯一の女性幹部で、その実力は折り紙付きです。

ミミニアも手練れではあるだろうけど、シュノさんには遠く及ばないでしょうね。

まともに戦ったら、ミミニアが負けるのは火を見るより明らか。

だけど、あっさり勝負を決められたら困るんですよね。

あくまで、戦いを長引かせてもらわないと。

「何故侵入がバレた?貴様、地下通路を使えば侵入出来ると…!」

この期に及んで、待ち伏せされていたことを俺のせいにするミミニアである。

おい。今それどうでも良いだろ。

敵を前にしても、俺に責任擦り付けることしか考えてないのか。

「侵入出来るとは言いましたけど、見つからずにやり遂げられるとは言ってないですよ」

魔法使いじゃないんだからさ。俺だって。

「貴様、そんな適当なことを言って誤魔化せると…」

「それに、俺がヘマしたから見つかったとは限らないでしょう。エペル達の侵入が先に見つかったのかもしれないし」

ルルシー組のことである。

待ち伏せされていたのは、俺達が間抜けだったからではなく、ルルシー&エペル組が先に見つかったから。

そういうことにしておこう。

大丈夫ですよ。向こうも同じく俺達のせいにしてるでしょうから。

シュノさんがここにいるってことは、間違いなくルルシー&エペル組も、待ち伏せされているんだろうから。
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