The previous night of the world revolution~P.D.~
――――――…場面が変わって、こちらは『青薔薇連合会』第9地下通路。

僕は数名の『ブルーローズ・ユニオン』の構成員と共に、セルテリシアを護衛しながら進んでいた。

「大丈夫ですか、セルテリシアさん」

僕は自ら先行しながら、振り向いてセルテリシアを気遣った。

薄暗がりの中でも、セルテリシアが緊張した面持ちをしているのがよく見えた。

「は、はい…。私は大丈夫です」

本当ですかね?足が震えてますけど。

最初に『青薔薇連合会』に乗り込んできたときは、あれほど傲岸不遜な「お姫様」だったのに。

自信を失うと、途端にこれですか。
 
情けないですね。

「それよりも…先行したルレイアさんと…ルルシーさん達の方こそ、大丈夫でしょうか…?」

確かに、それは僕も心配ですね。

ただ、セルテリシアのそれとは、また別の意味での心配ですけど。

無事に『青薔薇連合会』本部に到着した、という知らせは届いている。

二組とも、今頃『青薔薇連合会』本部に侵入しているところだろう。

が、その後の連絡は途絶えている。

順調にアイズ総長のもとに辿り着いたのか、それとも…。

「…敵に遭遇でもしたんですかね?」

「…!それは…」

おっと。無駄に怯えさせて申し訳ない。

僕達がこうして『青薔薇連合会』に侵入しようとしていることは、既にアイズ総長も知っているはず。

わざとトラップだらけの地下通路を使って、自ら「見つけてくれ」と猛アピールしてるんですからね。
 
それを見たアイズ総長が、どのような判断を下すのか。

こればかりは、祈るしかなかった。

ルレイア師匠は、「アイズなら大丈夫でしょう」と楽観視していたけど…。

…。

…なんて、僕が考えても仕方ないですね。

ルレイア師匠が信じるって言うんだから、僕も信じましょう。

もし駄目だったら…そのときは野となれ山となれ。

成り行きに任せるしかないだろう。

「心配要りませんよ。『青薔薇連合会』の手練れに囲まれても、簡単にやられるルレイア師匠じゃありませんから」

むしろ、ペアを組んでいるミミニアが足を引っ張るんじゃないかと心配ですよ、僕は。

中途半端に足引っ張られるくらいなら、最初からルレイア師匠単独で潜入した方がマシでしょうね。

ルルシーさんにしてもそう。

でも、今回はそれで良い。

だって僕達の本当の目的は、アイズ総長を暗殺して『青薔薇連合会』を制圧することではない。

ここにいるセルテリシア・リバニーを、逃れられない袋小路に追い込むことなのだから。

その為にルレイア師匠達は、全力で時間稼ぎをしてくれているはずだ。

…モタモタしていられないな。

仕方ない。気は進まなかったが、少しでも早く『青薔薇連合会』本部に辿り着く為に、手段は選んでいられない。

「セルテリシアさん、ちょっとお姫様抱っこさせてください」

「…えっ…」

…そんなにびっくりされるとは思いませんでしたね。

ちょっと傷ついたんですけど?
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