The previous night of the world revolution~P.D.~
――――――…ルレイア先輩、ルルシー先輩、ルーチェス後輩が『青薔薇連合会』本部に侵入し。

シュノ先輩、アリューシャ先輩とそれぞれ交戦している頃。

俺は一人、アイズ先輩に頼まれた極秘任務を遂行中だった。

ルレイア先輩に撃たれて死んだことになっている俺は、彼らの前に姿を現すことが出来なかった。

これは非常に残念である。

もし死んだことになってなかったら、喜んでルレイア先輩の足止め役を買って出たんだがな。

パフォーマンスの為とはいえ、ルレイア先輩とまともに戦う機会なんて、まず滅多に得られないからな。

ルルシー先輩やルーチェス後輩とガチタイマンしたことならあっても、ルレイア先輩とガチタイマンは…。

…したな。シェルドニア王国で。

でもあのときは、ルレイア先輩は洗脳されていたから。

やっぱり、ルレイア先輩の足止めは俺がやりたかったな。

残念である。

が、そんな不満を口にしている暇はない。

姿を現せない俺には、俺のやるべきことがある。

それに、姿を現せないと言っても、あとほんの少しの辛抱だ。

全ての種明かしが出来る時は、もうすぐそこだ。

その準備の為に俺は、アイズ先輩に頼まれて…。

…狭い通気孔を、匍匐前進で進んでいた。

段々腕と腰が痛くなってきた。

仲間内でさえ姿を見られてはいけないので、こうしてヘビかネズミのように、こっそり通気孔を這って進むしかない。

優美さに欠けるな。

だが、こんなこともあろうかと、通気孔は常に綺麗に掃除してある。

従って、埃に閉口することも、ネズミとこんにちはすることもない。

それはそれでちょっと寂しい気もするがな。

しかし、死んだことになってる身は辛いな。

味方の陣地なのに、自由に動き回ることも出来ないとは。

それも今日までの辛抱だ。

俺の敬愛する先輩方と、俺の背中を追う期待の後輩が終わらせてくれるからな。

サナリ派によって引き起こされた、この盛大な茶番劇を。

ほら、見えてきた。

「こっちです、セルテリシアさん」

「はい」

通気孔の鉄格子の隙間から、ターゲットの声と姿を確認した。

…会いたかったぞ、セルテリシア・リバニー。

ここが、年貢の納め時だ。
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