The previous night of the world revolution~P.D.~
…呆気ないものだったな。

まぁ、あの側近二人がいなければこんなものか。

「な…。あ、あなたは…」

「ご無沙汰だな、『ブルーローズ・ユニオン』代表、セルテリシア・リバニー」

例の交差点で会ったとき以来か?

元気そうで何よりだ。

「あなたは…あのとき…」

撃たれて死んだはず、か?

そうだな。実はあれはトマトケチャップだと種明かししても良いんだが…。

それはあまり華麗じゃない気がする。

…ので。

「…地獄の底から舞い戻ってきた」

格好良く仮面をくいっ、と上げて決め台詞。

…どうだ。決まったか?

「その決め台詞…俺も真似したい…!」

ルーチェス後輩が目をキラキラ輝かせて、ぱちぱちと称賛の拍手を送ってくれた。

ありがとう。後で、他にもいくつか決め台詞を伝授しよう。

ルーチェス後輩なら、格好良く決められるはずだ。

その前に、面倒な仕事を済ませないとな。

「まさか、死んでいなかった…?それに…ルーチェスさん、あなたは…」

「…大人しくしててくださいね、セルテリシアさん」

ルーチェス後輩は素早くセルテリシアの後ろに回り、彼女の両腕を捻り上げた。

…これでもう、ルーチェス後輩も自分を偽る必要はなくなったな。

「大丈夫ですよ、これはガスでも何でもありません。ただ良い香りがしてるだけです」

俺がぶん投げたのがフレグランスボールだと、ルーチェス後輩はすぐに気づいたらしいな。

良い匂いだからな。

「あなたは…あなたは、私を裏切ったのですね…!?」

さすがのセルテリシアも、怒りの滲んだ顔であった。

そうは言ってもな。先に『青薔薇連合会』を裏切るように唆したのはそっちだし。

お互い様じゃないかと思うがな。

「裏切った?それは誤解です。僕達は最初から、自分の所属する組織を裏切ってはいません」

「…っ…!」

「今日に至るまで気付けなかった、あなたの失態です。…ゲームオーバー、ですよ」

今のはちょっと格好良かったぞ、ルーチェス後輩。

やはり素質があるな。

…ともあれ。

「これでゲームは終わりだ。…ルレイア先輩達にも伝えないとな」

俺はスマートフォンを取り出し、ルレイア先輩とルルシー先輩に宛てて、久し振りにメールを送った。
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