The previous night of the world revolution7~P.D.~
「団長…代理?団長本人は?」
「僕は会ったことないですね」
俺もだ。
「代理か…。その団長代理は、どんな人だった?ルーチェスの目から見て、切れ者だったかな?」
アイズが、ルーチェスに尋ねた。
如何せん、この中で帝国自警団と会ったことがあるのはルーチェスだけだから。
何でもかんでも、ルーチェスに意見を求めなければならない。
正式には幹部でないのに、ルーチェスを呼び戻したのはそれが理由だ。
恐らく、帝国自警団については…元貴族である俺やルリシヤよりも。
つい最近まで、ベルガモット王室にいた…元皇太子のルーチェスの方が詳しいだろう、と。
ルーチェス自身は…あまり思い出したくないことかもしれないけど。
無理矢理ほじくり返すような真似をして、申し訳ない。
「切れ者?とんでもない…。ただの小娘でしたよ」
ルーチェス自身、「ただの小僧」と言われてもおかしくない年齢だというのに。
そんなルーチェスが、帝国自警団の団長代理を「ただの小娘」呼ばわりするのだから。
その団長代理というのは、本当にただの小娘なんだろう。
ま、それはそうでしょうね。
ただの小娘であったからこそ、これほど長い間、自警団の名前を聞かなかったのだ。
「僕を前におどおどして、声も態度も小さくて…。本当にこれが団長かと思うほどでした」
とのこと。
「…そりゃおどおどもするだろ?お前は皇太子だったんだから」
「それにしたって、頼りない団長代理でしたよ。こんな団長で大丈夫か、心配になったくらいです」
案の定、全然大丈夫じゃなかったんでしょうね。
この10年近く、ルティス帝国はあらゆる危機を乗り越えてきた。
その度に俺達は、帝国自警団の名前を一度も聞かなかった。
つまり、そういうことだ。
帝国自警団は、ルティス帝国の危機的状況において、手を借りるどころか。
名前を思い出すこともなかった、頼りない存在だったという訳だ。
そんな奴らが。
今更、俺達に何の用だ?
「ねぇ、代理がいるってことは…本当の団長が他にいるってことよね?」
シュノさんが言った。
その通り。
「その団長は、何処にいるの?」
「…俺の記憶が正しければ…。確か本来の団長は、他国に留学していたんでしたね」
アシスファルト帝国だったか?留学先は。
そんな噂を聞いたことがある。…帝国騎士官学校時代に。
「自警団を放り出して、自分は別に団長代理を立てて、優雅に留学してたって言うの?」
「そういうことになりますね」
「…」
シュノさんは釈然としない顔で、無言になってしまった。
シュノさんは特に、責任感の強い人だから。
自分が長を務める組織を放り出して、自分だけ呑気に海外留学…なんて、聞いただけで腹立たしいのだろう。
なんて無責任な、と思っているに違いない。
確かに、無責任ではあると思うけど。
一応団長の代理を立てていったのだから、最低限の義理くらいは果たしてるんじゃないのか。
ただ、その間にルティス帝国は、度重なるピンチを迎えていた。
そのピンチを無視して、帰ってくることもなく、優雅に留学を続けてたという点では、めちゃくちゃ無責任ですね。
シュノさんが怒るのも分かる。
「…その頼りない団長代理が、俺達にちょっかいをかけてくるとは思えない。つまり…」
「そうだね。この度、再び帝国自警団の名前が出てくるきっかけになったのは…十中八九」
ルルシーとアイズが、続けて言った。
…そうでしょうね。
帰ってきたんでしょうね。
帝国自警団の、本当の団長が。
「僕は会ったことないですね」
俺もだ。
「代理か…。その団長代理は、どんな人だった?ルーチェスの目から見て、切れ者だったかな?」
アイズが、ルーチェスに尋ねた。
如何せん、この中で帝国自警団と会ったことがあるのはルーチェスだけだから。
何でもかんでも、ルーチェスに意見を求めなければならない。
正式には幹部でないのに、ルーチェスを呼び戻したのはそれが理由だ。
恐らく、帝国自警団については…元貴族である俺やルリシヤよりも。
つい最近まで、ベルガモット王室にいた…元皇太子のルーチェスの方が詳しいだろう、と。
ルーチェス自身は…あまり思い出したくないことかもしれないけど。
無理矢理ほじくり返すような真似をして、申し訳ない。
「切れ者?とんでもない…。ただの小娘でしたよ」
ルーチェス自身、「ただの小僧」と言われてもおかしくない年齢だというのに。
そんなルーチェスが、帝国自警団の団長代理を「ただの小娘」呼ばわりするのだから。
その団長代理というのは、本当にただの小娘なんだろう。
ま、それはそうでしょうね。
ただの小娘であったからこそ、これほど長い間、自警団の名前を聞かなかったのだ。
「僕を前におどおどして、声も態度も小さくて…。本当にこれが団長かと思うほどでした」
とのこと。
「…そりゃおどおどもするだろ?お前は皇太子だったんだから」
「それにしたって、頼りない団長代理でしたよ。こんな団長で大丈夫か、心配になったくらいです」
案の定、全然大丈夫じゃなかったんでしょうね。
この10年近く、ルティス帝国はあらゆる危機を乗り越えてきた。
その度に俺達は、帝国自警団の名前を一度も聞かなかった。
つまり、そういうことだ。
帝国自警団は、ルティス帝国の危機的状況において、手を借りるどころか。
名前を思い出すこともなかった、頼りない存在だったという訳だ。
そんな奴らが。
今更、俺達に何の用だ?
「ねぇ、代理がいるってことは…本当の団長が他にいるってことよね?」
シュノさんが言った。
その通り。
「その団長は、何処にいるの?」
「…俺の記憶が正しければ…。確か本来の団長は、他国に留学していたんでしたね」
アシスファルト帝国だったか?留学先は。
そんな噂を聞いたことがある。…帝国騎士官学校時代に。
「自警団を放り出して、自分は別に団長代理を立てて、優雅に留学してたって言うの?」
「そういうことになりますね」
「…」
シュノさんは釈然としない顔で、無言になってしまった。
シュノさんは特に、責任感の強い人だから。
自分が長を務める組織を放り出して、自分だけ呑気に海外留学…なんて、聞いただけで腹立たしいのだろう。
なんて無責任な、と思っているに違いない。
確かに、無責任ではあると思うけど。
一応団長の代理を立てていったのだから、最低限の義理くらいは果たしてるんじゃないのか。
ただ、その間にルティス帝国は、度重なるピンチを迎えていた。
そのピンチを無視して、帰ってくることもなく、優雅に留学を続けてたという点では、めちゃくちゃ無責任ですね。
シュノさんが怒るのも分かる。
「…その頼りない団長代理が、俺達にちょっかいをかけてくるとは思えない。つまり…」
「そうだね。この度、再び帝国自警団の名前が出てくるきっかけになったのは…十中八九」
ルルシーとアイズが、続けて言った。
…そうでしょうね。
帰ってきたんでしょうね。
帝国自警団の、本当の団長が。