The previous night of the world revolution~P.D.~
ルレイアは、言わずもがなあの性格だからな。

味方も多いが、味方の10倍くらい敵が多い。

ルレイアに手を出すことは容易ではないから、普段は何事もなく過ごしているが。

ルレイアを恨んでいる人間は、国内外を問わず大勢いる。

そいつらが互いに手を組めば、軽く一つの軍隊が出来上がることだろう。

ほぼ女性ばっかりだろうな。

あいつは、根っからの女泣かせだから。

って、本人に言っても否定するだけだが。

帝国自警団のリーダー、ブロテ・ルリシアスは、ルレイアを指名してきた。

アイズのこともシュノのことも知らなかったし、俺に至っては声をかけることさえしなかったが。

それなのにあの女は、ルレイアの名前を出し、ルレイアとの会話を望んだ。

つまり、あの女は…『青薔薇連合会』を家探しすると同時に、ルレイアに会いに来たのだ。

…何故なのかは分からない。

確かにルレイアは今や、『青薔薇連合会』を支える重要な柱の一本だ。

だから、帝国自警団にルレイアの名前が知れ渡っていてもおかしくない。

俺としては、あまり言い触らして欲しくないんだが…。

ブロテがわざわざルレイアの名前を出し、ルレイアとの面談を望んだのは。

それだけ帝国自警団において、ルレイアが脅威だと思われているからだろう。

無理もない。

無理もないけど…俺にとっては、これは大きな頭痛の種だ。

俺が目をつけられるんなら、別に好きにしてくれれば良い。

だが、ルレイアが帝国自警団に目をつけられていると思うと、気が気でない。

理由はよく分からないが、帝国自警団はルレイアを酷く警戒し、ルレイアに目をつけている。

他でもない、俺の相棒に。

俺が代わってやれたら、どんなに良いだろう。

自分が狙われるだけなら、遥かに気が楽なのに。

勿論、帝国自警団ごときに狙われたからって、簡単にルレイアが捕まるとは思っていない。

何せあいつは、死神が迎えに来たとしても返り討ちにするくらいだからな。

ルレイア自身、自分が目をつけられていることは分かっているだろうから。

それなりに周囲に気を配るだろうし、ルレイアには俺だけじゃなくて、ルーチェスもついてるし…。

…大丈夫だろうと、大丈夫だと信じたい。

信じたいけど、でも安心出来ない自分がいる。

当たり前だろ?

相棒が狙われていると分かっていて、誰が1秒でも安心していられると思う?

「…はぁ…。頭いてぇ…」

昨日からずっと、頭痛薬のお世話になってるよ。

…とにかく。

うじうじしていても仕方ない。ルレイアに万が一のことがないよう、俺がしっかり目を光らせて…。



…と、思っていたそのとき。

「やっほールル公〜!来たぜ!」

能天気を絵に描いたような男、アリューシャが。

俺の悩みや心配をよそに、元気いっぱいに俺の部屋にやって来た。用もない癖に。

そのあまりの能天気な顔に、思わずぶん殴りたくなる衝動を堪えなければならなかった。
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