The previous night of the world revolution~P.D.~
…それで?

「何しに来たんだ。お前らは」

幹部組が一同、お揃いの服を着て。わざわざ俺の部屋にやって来て。

何がしたいんだ?

俺は考え事に集中したいのだが?

しかしルレイア達は、そんな俺の複雑な心境を嘲笑うかのように。

「はいっ、これルルシーのですよ」

「…」

ルレイアが、青みがかった黒のTシャツを差し出してきた。

…何だよこれは。

俺にもこの服を着ろと?お前達とお揃いで?

黒い服は相変わらずだが、ルレイアが自前のゴスロリ衣装以外のものを着ているのは珍しいな。

今日は何でまた、皆してそんな格好をしているのか知らないが…。

悪いが、俺はそういう気分にはなれないんだ。

「ルルシーもこれどうぞ。皆とお揃いですよ」

「…いや。俺は遠慮しておくよ」

「はい、ルルシーもどうぞ」

「いや、だから俺は要らないって」

「ルルシーもどうぞ」

「…」

俺が着ると言うまで、延々繰り返すつもりか?

何で俺が、そんな変な色のTシャツを着なきゃならないんだ。

センスが良いのは認めるが、俺にそんな趣味はない。

「悪いけど、俺は今そんな気分になれないんだ。頭の中がいっぱいで…」

「…成程、それなら仕方ありませんね」

おっ。

ルレイアにしては、物分かりが良いな。

今はちょっと放っておいてほし、

「アリューシャ、麻酔弾をお願いします。俺とルリシヤとルーチェスが抑えておきますから」

「は?」

ルレイアが言うやいなや、ルリシヤとルーチェスが左右から俺の腕をガシッ、と掴んだ。

ちょ、お前ら何を。

「この距離じゃ、狙撃もクソもねーじゃん。目ぇ瞑ってても当たるわ」

アリューシャは、麻酔弾を拳銃に装填していた。

「ちょ、ば、何をやろうとしてるんだお前達は!」

俺は慌てて身を捩り、逃げようとしたのだが。

ルリシヤとルーチェスに拘束され、抜け出せなかった。

アイズとシュノも止めてくれよ。何で見てるだけなんだ。

「何でって、だってルルシーが嫌がるから。眠らせてる間に着替えさせようかと…」

「よし、じゃあ撃つぞー」

「分かった、分かった、分かったから!アリューシャ!拳銃を下ろせ!」

アリューシャの麻酔弾を食らうなんて、冗談じゃなかった。

それなら、大人しくルレイアの言うことを聞いた方がマシだった。

「じゃあ、はいっ。ルルシー。これ着てくださいね」

「…」

「…俺の目の前で、ナマ着替えしてくれても良いんですよ…?」

「…ちょっと着替えてくるから、お前ら部屋を出ていけ」

誰がルレイアの前で、みすみす服を脱ぐか。

…こうして。

俺は仕方なく、幹部組とお揃いの格好をする羽目になったのだった。
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