ひとりぼっちのさくらんぼ

お姉さんはお味噌汁をすすりながら、
「いいんだよ、私のことは」
と、眉根を寄せた。



「ひとりぼっちがつらいんでしょ?」



あたしはゆっくり、確かめるように聞いた。



「あなただって、そうでしょう?ひとりぼっちなのは、私だけじゃない」



お姉さんの気に障ったらしく、お姉さんの声がイラついている。



あたしはお姉さんに、
「そんなに協力されたくない理由って、何?」
と、質問を重ねた。



「意味が無いからだよ」

「意味が無い?」



お姉さんの瞳が潤み始めた。



「……ごめん」
と、お姉さんが目をこする。



そして小さな声でこう言った。






「……私、もう生きているの、嫌なんだよ」






「え?」



突然の言葉に、あたしは固まった。



「なんで?なんであなた、ここに来たの?」

「『なんで』って……」



「私、あなたが来なかったら、今頃は……」

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