ひとりぼっちのさくらんぼ

あたしの視界が揺れる。



「お姉さんから、誰かの人生に関わればいいじゃん。ひとりぼっちを脱する努力をしようよぉ」



涙がこぼれた。



「あたし、手伝うからさぁ。全力で、お姉さんを助けるからさぁ!」

「……」

「お願いだから、終わらせたりしないでよ」

「……」



「孤独に負けないでよぅ」



お姉さんは、しゃくりあげて泣いた。

あたしも、子どもみたいに泣いた。



ひとりぼっちだけど。

今は、ふたりだから。



あたし達は。

お互いを抱きしめて、泣いた。






翌日。

朝日がカーテンの隙間から入って来て。

あたしは、目を覚ました。



この世界で。

あたしは、お姉さんを助けるんだ。



はっきりとした目標を持って、あたしはソファーから起き上がる。







お姉さんは朝ごはんも食べずに仕事部屋にこもって、リビングには来なかった。

お姉さんのことが心配だったけれど。

パソコンのキーボードを打つ音が聞こえてきて。

なんとなく安心していた。

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