ひとりぼっちのさくらんぼ

マンションを出て。

お姉さんについて行く形で、最寄り駅までやって来た。



「切符買う」
と、券売機の前までやって来たけれど、あたしの頭の上にはクエスチョンマークが浮かぶことになった。



「J Kちゃん、あなた、お金持ってないよ」



お姉さんも近寄って来てくれる。



「……?お姉さん、この券売機、変」

「?何が変?」



「ボタンがどこにも無い」



あたしの言葉に、お姉さんの目が見開いた。



「そっか!そうだった!」

「どうやって買うの?選べないじゃん」



戸惑うあたしに、お姉さんはこう言った。



「タッチパネルなんだよ、これ。画面に表示が出るからさ、ポンって押してみて」

「タッチパネル!?あ、ダメだ、あたしは画面に触れられないんだった!」



「あ、そっか」と、お姉さんがあたしの代わりに画面を操作する。



「切符、買ってあげる」

「え……」



お姉さんは切符を買うと、
「無賃乗車って嫌だよね」
と、あたしに向かって笑った。

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