ひとりぼっちのさくらんぼ
第三章
第一話
数日が経った。
あたしは相変わらず、リビングのテレビを見つつ、頭の中ではタイムスリップの方法を考えていた。
お姉さんはだいたい日中は仕事部屋で執筆をしている。
夕食後は仕事をしない、と決めているらしく。
いつも夜はリビングであたしとテレビを見たり、話したりしてくれる。
「ね、今日さ、映画あるよ。J Kちゃんって、この映画は観たことはある?」
そう言って、あたしに新聞紙のテレビ欄を見せてくれるお姉さん。
「知らない映画だ。ってか、この主演の俳優さんの名前も知らないや」
「じゃあ、観ようよ。この俳優さん、まだ若いからなぁ。あなたの時代なら、まだデビューしていないのかもね」
お姉さんと並んでソファーに座って。
テレビ画面に流れるコマーシャルを見ていたら。
ヴヴヴ。
お姉さんのスマートフォンが振動した。
「……え、え?えっ!?」
お姉さんが驚いて、ソファーから立ち上がる。