ひとりぼっちのさくらんぼ
「わっかんない。なんでだろ!?でも、ほら。あたし、ブランケットを掴んでる!!」
興奮しつつ、あたしはお姉さんにブランケットを持った手を見せた。
ふたりで「すごい、すごい!」と騒いで。
すっかり眠気なんか飛んでいったけれど。
「じゃあ、私も寝室に行くよ。おやすみ、J Kちゃん」
と、お姉さんがリビングから出て行った。
暗くなった部屋。
ローテーブルの上に、お姉さんがスマートフォンを忘れて行った。
あたしの制服のリボンの隣で、静かに振動している。
(届けてあげよう)
そう思って。
あたしはお姉さんのスマートフォンを持ち上げようとした。
「!?」
手に感覚が無い。
スマートフォンを持ち上げることなんて出来なくて。
あたしの手はまた、透き通っているみたいに、スマートフォンを通り抜けた。
「なんで?だって、さっき……!」
あたしはソファーの上を見る。
ブランケットがぺたんこになって、そこにある。