ひとりぼっちのさくらんぼ

「ルール?何の?」



あたしはお姉さんの顔をじっと見つめる。

お姉さんの眉間には、深いシワが寄っている。



「……わからないけれど。でも、でもさ。ルールがあるんだと思うの。あなたが、この世界に存在することに対して」



「あたしが、存在すること?」



お姉さんはうなずいて、
「そう。あなたは不自然でしょ?この令和元年で存在していることが。だって、私がいるんだもん」
と、あたしと自分を交互に指差した。



「……そうだね。確かに。『不自然』とか言われると、正直気分悪いけど」



チクリと本音も伝えるあたしに、お姉さんは「ごめん、ごめん」と、少しだけ笑顔になる。



「でも、ルールを見つけたいよね」



お姉さんはそう言って、マグカップに砂糖を入れて、スプーンでかき混ぜた。



「物に触れられるルール……、あたしが実体を持てるルールってことだよね?」

「そうね、そういうことになると思う」



< 130 / 224 >

この作品をシェア

pagetop