ひとりぼっちのさくらんぼ
「少しでも自信をつけるには、雑誌のコーデを真似すると良さそうじゃない?」
「そうね、少なくとも服装は間違えてないもんね?」
お姉さんがパラパラと雑誌をめくる。
「……これ、オシャレなわけ?」
あたしは思わず言ってしまう。
「この人達さー」
と、女性モデルを指差す。
「こんな太い眉毛しててさー、スカートの長さもあり得ないくらいに長いしさー、なんか、全体的に茶色くない?これ、本気でオシャレだと思ってるの?」
あたしは不満だった。
全然、可愛さがわからない。
「あなたね、その指差している人は、この雑誌のトップモデルだからね」
お姉さんが呆れたような声を出す。
「ふーん、トップモデルねー」
あたしは断然このファッションより、平成の流行りのほうが好き。
カラフルで。
元気いっぱいで。
可愛いもん。
「時代の流れってあるんだね」
あたしが呟くと、お姉さんは「そうねー」と言って、
「あなただって流行りの風に乗って、そのうちギャルやめるもんね」
なんて、爆弾発言をする。