ひとりぼっちのさくらんぼ

「ふたりで動物園に行った日、園内の鳥類コーナーの写真をSNSにあげたら、また書き込みがあったんだ」

「どういう内容だったの?」

「『ふれあい広場でウサギに餌やりして、楽しかったね。朝日くんってばウサギにも人気者なんだもん、ちょっと嫉妬するかも』って、書いてある」



ふたりは考え込んでいるのか、少し沈黙が流れた。



まるで見てきたような内容だな、とあたしは思った。



「……ふれあい広場には行ったけれど、ウサギの所には……行ってないよね?」
と、お姉さん。



「そう、順番待ちの列、すごかったもんね?オレ達はヤギとか、ポニーの所には行ったけれど。だから本当に人違いなんだろうなって」

「……これって、本当に人違いしているのかな?」



お姉さんの声が慎重になる。



「……ちょっとおかしい気がする。動物園って場所が重なるのに、内容にズレがあって……、何かわからないけれど、違和感があるよ」



それはあたしも、そう思った。



(これって、妄想なんじゃない?)



あたしの小説。

高田くんとの妄想を書いた。

< 166 / 224 >

この作品をシェア

pagetop