ひとりぼっちのさくらんぼ
でも。
帰らなくちゃ。
(お父さんとお母さんに、会いたい)
関係はこじれてきているけれど。
でも。
あたし、やっぱりふたりに会いたい。
事故に遭うのは、怖い。
(もしかして、今度こそ死んじゃうのかもしれないし)
本当に平成に帰ることができるのか、あたしにはわからない。
金髪に染めた髪の毛を見下ろす。
強くなったつもりでいたんだ。
自由になれた、そんな気がしていた。
(あたしなら、出来るよね?)
帰れないかもしれないけれど。
何もしないまま、ここで年齢を重ねていくのは嫌。
お姉さんにリボンを渡して。
あたしは実体を持って。
事故っていう強い衝撃を受けて。
帰るんだ。
あたしのいるべき場所に。
夕方。
お姉さんが仕事を切り上げて、リビングにやって来た。
「どうしたの?J Kちゃん、何か顔、怖いよ?」