ひとりぼっちのさくらんぼ

お姉さんが準備しているところを、あたしは隣で眺めた。

変なの。

自分自身を見ているってわかっているのに。

なんとなく、お母さんを思い出す。



孤独で。

悲しそうだった、お姉さん。

人生を悲観していた。



宅配便で送られてくるのは、過去の自分から。

ずっと家にこもって、仕事して。

人と話すこともなかったお姉さん。



あの時。

人生を終わらせたいって言っていた。

あの日に届いた高級チョコレートも。

きっと人生の幕を下ろす前に、食べようと思っていたんだろうな。



今は、どう思っているんだろう?



市原さんとの恋が実って。

お姉さんの心境に変化はあったのかな?




(それがあたしの役目だと思っていた)



お姉さんを助けるってことは。

孤独から救うことだと思った。



だから。

市原さんと両想いになる必要があった。



でも。

< 177 / 224 >

この作品をシェア

pagetop