ひとりぼっちのさくらんぼ
「市原さんのそばにいて、この願望を叶えるぞって思ってるんだよ。本人にわざわざ送りつけているのも、あなたは私のものですって、宣言したいからじゃない?」
あたしの考えを聞いて、お姉さんは真っ青な顔をした。
「それって、もう……」
「うん。言いたいことはわかる」
他にも市原さんへのつきまといかと疑う文章が、いくつか出てきた。
「お姉さん見て、この書き込み。市原さんの着ていた洋服のこと、細かく書いてある」
「どれ……?あ、これ?《青いストライプのシャツに抱きしめられた時、紺色のネクタイに私のリップが付きそうになって、焦ったね》……なるほど、細かいね?」
「他にもあるよ。《深緑色のTシャツを貸してくれてありがとう。ふたりの朝をコーヒーで始めて、朝日くんの幸せそうな顔が好き》……とか」
「《紺色のトレンチコートのポケットに、繋いだ手をそのまま入れて、夜道の散歩をしたね。仕事帰りの、ご褒美みたい》……これって全部、市原くんの着ていた洋服ってこと?」