ひとりぼっちのさくらんぼ
「多分。『Tシャツが』ならわかるけど、わざわざ色をきちんと書いてるあたりが、本当に市原さんが着ていたものを見て書いた気がする。つきまとってるんだよ」
青いストライプのシャツ。
紺色のネクタイ。
深緑色のTシャツ。
紺色のトレンチコート。
「どれも市原さんが持っている洋服なのか、確かめたいんだけど、お姉さん、わかる?」
お姉さんは考えこむ。
「どれも持っているかもしれないけれどさ、世の中にそれを着ている人、たくさんいるよ?深緑色のTシャツを持っている成人男性、世の中に多分、めちゃいるよ?」
「つきまとっている決定打にはならないってこと?」
「うん」
この書き込みをした人が適当に書いた洋服の特徴が、たまたま市原さんの洋服と合致する可能性だってあるということだよね?
「でもさ」
と、あたしは食い下がった。
「『朝日くん』って、名指しだよ。市原さんのことで間違いないじゃん。本人も言ってたよ、アザの話。……だから、多分、市原さんの近くにいるんだよ、この人」