ひとりぼっちのさくらんぼ
見せてもらうと、確かに違う服装で、でもふたりで写真を撮っている。
「なんかこの人……」
「J Kちゃんも気づいた?」
あたしはお姉さんにうなずく。
「市原さんのこと、好きだよね?」
今度はお姉さんが黙ってうなずく。
市原さんとのツーショットの時、市原さんの腕に触っている。
ほんの少しだけ、寄り添うみたいな感じで。
「女子は好きな男子にしか、こういうボディータッチはしない」
あたしの言葉にお姉さんはうなずき、
「うん。同意見。そしてなんかイラッとする」
と、ちゃっかり本音を漏らす。
「まぁ、まぁ。市原さんはほら、なんか逃げてるじゃん」
と、あたしはフォローをする。
写真の中の市原さん。
笑顔だけど、体がほんの少し、女性と距離を取ろうとしていることがわかる。
「市原くん、優しいから何も言わないのかな」
お姉さんの目がほんの少しだけ、和らいだ。