ひとりぼっちのさくらんぼ

「……色んな所に行っていたんだけど、これ、見て」



市原さんはスマートフォンを取り出して、お姉さんに見せた。

あたしも画面をのぞく。



そこには「図書館」、「ショッピングモール」、「友達の家」など、様々な場所の名前が表示されていた。



だけど。



「……一ヶ所だけ、どの日にも共通して行っていた場所があったんだ」



そう言って、市原さんは画面の上の表示、ある場所を示した文字を指差していく。






「カフェ」







「……どの日にも、カフェに行ってる」



あたしは思わず呟く。

お姉さんは、
「カフェって……、あの、カフェ?」
と市原さんに聞いた。



「うん。オレたちが再会した、あのカフェだよ」






お姉さんが思わず周りを見回す素振りを見せたから、あたしは慌てて、
「じっとして!」
と、注意する。



「あのカフェ、わりと近いじゃん。常連客か、それとも従業員かわからないけどさ」

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