ひとりぼっちのさくらんぼ

「……」



女性は何も言わず、お姉さんをじっと見ている。



「何なんだろう?お姉さん、知り合い?」
と、あたしはお姉さんに尋ねるけれど、お姉さんは黙って首を振る。



その時。

女性が笑った。

ニィッて、口元だけで笑った。



「!?」



異様な微笑みに、あたし達は驚く。

ぎょっとした、と言ったほうがいいかも。



とにかく、怖い。



「あの、何か?」



お姉さんがもう一度聞く。

女性はニィッと笑ったまま、
「邪魔なんですよ」
と、呟いた。



「え?」



お姉さんは何のことかわからず、戸惑っている。




(この声、どこかで……?)
と、あたしは記憶を辿る。



どこかで聞いた。

この声。

少し高くて、キレイな声。



女性は、
「あなた、邪魔なんですよ」
ともう一度、今度は少し低めの声で言う。




「!!」



ハッとした。

この声!!

あたし、知っている!!

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