ひとりぼっちのさくらんぼ
あたしはリボンを乱暴に襟元から外した。
恐怖はない。
大丈夫、あたしなら。
(だって、あたしには未来があるもん)
ずっと。
ひとりぼっちだけど。
(いつか、こんなふうに誰かと同じ時間を過ごせるんだから)
「J Kちゃん?」
お姉さんがあたしを見た。
あたしはお姉さんに笑いかけた。
持っていた制服の赤いリボンを、お姉さんの首元に付ける。
「あたしね、ここに来た意味がわかった!」
あたしは、今。
この瞬間のために。
未来にやって来たんだ。
あたしは、あなたを助けるんだ。
あなたのために。
あなたの好きな人を。
守るんだ。
「J Kちゃんっ」
「お姉さんっ、市原さんを線路の外に!」
あたしはお姉さんと市原さんの体を抱き起こして、線路の外、ホームの下のスペースに運ぶことが出来た。
「なんで……あなた、さわれるの?」