ひとりぼっちのさくらんぼ
空は必ず変化する。
全く同じ空にはならない。
ふわふわ浮いている雲だって。
必ずいつも違う雲なんだ。
あたしは空の、そういう一期一会なところが好き。
「何あれ」
教室にトゲトゲしい声が響く。
思わず声の方向に顔を向けてしまった。
「ヤンキーはいいよね、気楽でさ。ケータイ見て余裕かましてるよ」
そう言ったのは、クラスで人気者の、確かソフトボール部に所属している女子だった。
しっかりしている彼女は。
自分の意見を持っていて。
きちんとそれを人に伝えられる。
……あたしは彼女に嫌われているけれど。
なぜ嫌われているのか、よくわからない。
ただ、嫌われていることだけはよくわかっていて。
「なんであんな子がこの学校にいるんだろ?」
と、ため息混じりに言われるのも、いつものことで。
あたしのハチミツ色の髪の毛を。
まるで汚いものでも見るような目つきで、彼女は見ている。