ひとりぼっちのさくらんぼ

どこをケガしたんだろう?

全身が痛すぎて。

地面に流れる生ぬるい血が、どこから流れている血なのか、よくわからなかった。

ただ、あたしの血なんだろうなって、ボーッとした頭の中で思った。



他校の制服を着ている男子があたしのそばまで来る。

右手に携帯電話。



「事故です!救急車をお願いします!」



ひと言、ふた言、電話に向かって話している。



「大丈夫ですか!?」
と、男子はあたしを見た。



「救急車、もう来るから!!頑張って!!」



そう言って、あたしの手を握る。



「大丈夫、大丈夫だから!!」



ぎゅっと握られた手。

あたしは男子に、
「ごめんなさい」
と、言った。



なぜかはわからないけれど。

謝っていた。






涙の粒が頬に流れていく。

指で拭いたかったけれど。

もう、体が動かない。



(あれ、あたし……このまま死んじゃうのかな)



寂しい人生だったな。

家族とも、友達とも、うまく関われなくて。



誰にも必要とされていないような。



ずっと、ひとりぼっちで。




なんにもない、人生だったな。

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