ひとりぼっちのさくらんぼ
第四話
静かだな。
何の音もしていないみたい。
(あたし、死んだのかな)
どうせ死んじゃうなら。
もっといろんなことに挑戦すれば良かったかも。
習ってすぐやめたピアノとか。
興味はあったけれど、無理だと決めつけていたバレエとか。
クラスの人達ともっと話すとか。
それに、お父さんやお母さんと、もっと話しておけば良かったな。
高校入ってから、なんか変な雰囲気のままで。
ここで死ぬなら。
ちゃんと話せば良かったな。
変な雰囲気を取り払えるのは。
あたししかいなかったのに。
頬に、つぅっと涙が流れた。
(死んだ後でも、涙って流れるんだ?)
あたしは重いまぶたをゆっくり開ける。
知らない天井。
見覚えのない深緑色のソファーに、あたし、寝転んでいる。
体を起こして、ソファーに座る。
ふわふわしていて、感覚が無い。
座っているのに、自分の体の重みがすっぽり抜け落ちているみたい。