ひとりぼっちのさくらんぼ
お姉さんはひとつ、ふぅーっと細く息を吐いて。
あたしをまっすぐに見つめた。
「高校生だよね?何年?」
「……に、二年」
「二年ってことは……、二年六組だよね?図書室に行かなかった?暇つぶしで借りた本が、大好きにならなかった?」
あたしは絶句する。
「な、なんで……!?」
「あなたが、私だからよ。どう?信じるつもりになった?」
お姉さんは続ける。
「書いてるよね?ノートに小説。小説って言ってもかなり恥ずかしい類の妄想を、あなた、楽しんで書いているよね?」
「!!」
あたしは顔が真っ赤になるのを感じた。
「そう、思い出してきた。確か、Tくんっていう男の子と自分を主人公にした妄想で、そのTくんは同じクラスの高田く……」
「やーめーてーっ」
自分がいたたまれなくて。
あたしはお姉さんの言葉を途中で遮った。
「なんで知ってんのっ!?」
「なんでも知ってるよ。あなたが知っていることは全部。もちろん、あなたが知らない、これからのあなたのことだって」
「怖い……」