ひとりぼっちのさくらんぼ

教室は再びシャープペンシルがノートの上を走る音に包まれる。

カリカリカリ……。

あたしはその音を聞きながら。

ここじゃない、どこかに行きたいって思った。






昔から。

友達関係に悩んで生きてきた。



ずっと友達でいられる人を、あたしはまだ見つけられずにいる。



グループに入ることが出来ても。

いつの間にかハブられたり。

嫌われるようなことをしたつもりはないのに。

いつだって嫌われてしまう。



だからあたし。

魅力的な女の子になりたい。



友達でいたいって思われたい。

誰かのそばにいられるような人になりたい。










あっという間に、今日の授業が終わった。

部活に向かう人。

放課後の教室で友達と話している人。



いつもなら、すぐに学校から出て行って家に帰るんだけど。

今日のあたしは、学校内をブラブラ散歩したくなった。



鞄を持って。

教室から出る。

廊下の寒さに、秋を感じる。


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