ひとりぼっちのさくらんぼ
勝った。
そう思った。
「……J Kちゃん」
「何ですか?」
「あなた、今勝ち誇った顔したけれどさ。十七年後、今度はあなたが過去から来た小生意気なJ Kに、同じことを言われるんだからね」
うっ。
あたしは黙るしかなかった。
お姉さんは「ふふん」と、ニッコリ笑顔になる。
あたし、本当にタイムスリップしたのかな。
信じられないけれど。
お姉さんが、
「とりあえず何か飲もっか。のど渇かない?」
と、キッチンに移動して、
「座れば?」
と、あたしに優しい顔を向けてくれたから。
あたし、お姉さんが背中を見せた時に。
そっと両手を合わせて、小さな声で謝った。
本当にタイムスリップしているなら。
この人を頼るしかない。
お姉さんはキッチンで紅茶を淹れている。
香ってくる茶葉の良い香りを鼻先に感じながら、あたしは。
ずっと遠くに来てしまったなぁって。
背筋がまた、冷たくなった気がした。