深紅の復讐~イジメの悪夢~


少し気分の良くなったあたしは、屋上に来ていた。

伏見くんと話した柵に寄りかかる。

ここは、5階。

落ちれば、死ぬ。

一番身近な生と死の境目。


あたしがこの境目を越えるのはいつだろう…

明日かもしれないし、明後日かもしれない。




なんなら、今日かもしれない。




「ぶーちゃん!」


…あなたたちは、いつも絶妙なタイミングで来る。

あたしは…ゆっくりと振り返った。


涙で霞んだ視界に、6つの人の輪郭が映る。


あたしの瞳から涙が一筋の涙が溢れる。

涙は、屋上で吹く風に乗り、床に落ちる。



「なに?そこで思い詰めた顔しちゃって!」




柑奈がニヤニヤ笑いながら言う。




「それとも、ウチらに会えて嬉し泣きしてたの?」




あたしは、答えずに、涙を流していた。

心は、すごく静かだった。

おかしいくらいに。

今までで一番落ち着いていた。


麗華が周りに人がいないことを確認すると、私に歩み寄った。


誰にも見られていない時、麗華は本性を現す。




「ぶーちゃんってさ、よくあたしたちのこと無視するよね。そんなにいじめてほしいわけ?ドMだね〜。」




ケタケタと麗華が笑う。



「でもぉ、あたしはSだから、そういう悲しそうな顔をされると、いじめたくなるんだよねぇ〜?あたしたち、相性いいね〜!」



麗華は口だけで不気味な笑みを浮かべていた。



< 100 / 332 >

この作品をシェア

pagetop