深紅の復讐~イジメの悪夢~
少し気分の良くなったあたしは、屋上に来ていた。
伏見くんと話した柵に寄りかかる。
ここは、5階。
落ちれば、死ぬ。
一番身近な生と死の境目。
あたしがこの境目を越えるのはいつだろう…
明日かもしれないし、明後日かもしれない。
なんなら、今日かもしれない。
「ぶーちゃん!」
…あなたたちは、いつも絶妙なタイミングで来る。
あたしは…ゆっくりと振り返った。
涙で霞んだ視界に、6つの人の輪郭が映る。
あたしの瞳から涙が一筋の涙が溢れる。
涙は、屋上で吹く風に乗り、床に落ちる。
「なに?そこで思い詰めた顔しちゃって!」
柑奈がニヤニヤ笑いながら言う。
「それとも、ウチらに会えて嬉し泣きしてたの?」
あたしは、答えずに、涙を流していた。
心は、すごく静かだった。
おかしいくらいに。
今までで一番落ち着いていた。
麗華が周りに人がいないことを確認すると、私に歩み寄った。
誰にも見られていない時、麗華は本性を現す。
「ぶーちゃんってさ、よくあたしたちのこと無視するよね。そんなにいじめてほしいわけ?ドMだね〜。」
ケタケタと麗華が笑う。
「でもぉ、あたしはSだから、そういう悲しそうな顔をされると、いじめたくなるんだよねぇ〜?あたしたち、相性いいね〜!」
麗華は口だけで不気味な笑みを浮かべていた。