深紅の復讐~イジメの悪夢~
第四章 終わりの始まり

救済


 


あたしは、落ちなかった(・・・・・・)




「……え…?」




あたしは空中で手を掴まれ、静止していた。




「何やってんだよ、バカ!それは復讐のつもりか!?」





あたしの手をしっかりと掴んでいたのは、八神さんだった。



「八神…さん……」




手を引っ張られて屋上に連れ戻される。




「良かった…間に合って。」




八神さんがあたしを抱きしめる。

八神さんの体の温かさを感じた。




「う……ひっく…う…う……」




涙がさらに流れる。




「大丈夫、大丈夫だよ…」





八神さんがあたしの頭を優しい手つきで撫でる。

温かい。

あたしが求めていたもの。

ずっとずっと求めていた。


冷たい狂気の世界で願っていた。


今日、今、伸ばした手を掴んでもらえた。

あたしを引っ張り上げてくれた。




「うあぁぁ……」




八神さんに身を任せて、あたしは泣いた。

憎い…憎い憎い…

あたしをいじめた人が憎い。

アイツらが憎い。




「ねぇ、清水はさ、死んだら復讐になると思ったの?」




あたしは素直に頷いた。




「そんなわけないじゃん。佐野のことを突き落として笑っている奴らだよ。アイツらは、人が死のうがどうでもいいんだ。新しいターゲットを見つけてまた痛ぶるだけ。」



八神さんは淡々と喋る。


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