深紅の復讐~イジメの悪夢~
「佐野は、昨日階段から落ちているところを発見された。幸い右腕の骨折と左足の捻挫、頭部の傷だけで済んだが…君たちも階段から落ちないように気をつけろ〜。」
佐藤先生がそう言ってホームルームは終わった。
あたしは心の底からホッとした。
百合香は無事だった。
あたしは、その情報だけで充分だったんだ。
昼休み
「ぶーちゃん、おーいでっ!!」
昨日のことなんか何もなかったかのように麗華があたしを呼ぶ。
「は…は…い…」
「へ〜!返事するようになったんだえらいね〜!ぷっ…あはは…」
彩綾が笑う。
奈々美はスクープだと言わんばかりにスマホをむけている。
あたしが連れてこられたのは、屋上。
「ね、ぶーちゃん、また、裕二くんに付き合ってね?」
奈々美がニコニコと笑いを振りまきながら言う。
いつのまにか奈々美の背後には、裕二がいた。
見るからに不機嫌そうな顔をしている。
「裕二くんはぁ〜、今日はご機嫌斜めだから、ちょっとキツイかもしれないけどね〜!」
奈々美が裕二の腕に絡む。
表情ひとつ変えない裕二。
「俺はムカついてんだ。またやらせてもらうぜ。」
裕二の顔が醜く歪んだ。