深紅の復讐~イジメの悪夢~
数分で、あたしは愛香の顔に「お化粧」し終わった。
色とりどりの油性マジックで愛香の顔に落書きしたんだ。
彩綾がスマホのカメラで連写する。
「あははは!ブスだねぇ〜!」
柑奈が愛香を蹴っている。
愛香は痛そうに顔を歪めている。
柑奈は空手弐段だ。
柑奈の蹴りは相当なものだ。
—あたしは、よく知っているんだ。
彩綾は相変わらずスマホを操作している。
おそらくオナラ少女の続編にするのだろう。
それなのに…!
それなのにそれなのにそれなのに!!
こんなにいじめているのに!
なんで、愛香は泣かないの!?
なんでなんでなんで!?
早く、泣いてよ。
叫んでよ。
本当にイライラする!
その、無駄に抵抗するような顔…!
いちいちムカつくんだ。
あたしは、自分の気持ちをどうしようもできなくなった。
そんなとき、あたしはイジメをする。
あたしは、助走をつけて、盛大に愛香の背中に飛び乗った。
「がっ…!?」
愛香がうつ伏せに倒れ込む。
そりゃそうだ。
あたしの全体重が勢いよく乗ったんだもん。
倒れた愛香の上で飛び跳ねる。
「あっはは!トランポリンみたいで楽しー!!」
本当に、楽しかった。
嘘笑いじゃなくて。
心の底からの笑い。
愛香のうめき声が弱々しくなる。