深紅の復讐~イジメの悪夢~
「たっだいまぁ〜!」
あたしは勢いよく家のドアを開ける。
あ、玄関に大きな男物の靴がある!
お父さんだ!
お父さんが帰ってきたんだ!
「おとーさーん!」
リビングに駆け込むと、椅子に座る、中年だがスリムで、ハンサムな男の人がいる。
「お、聖理奈か。おかえり。」
お父さんが腕を広げる。
あたしは、お父さんの温かい腕の中に飛び込んだ。
側から見たら重度のファザコンかもしれないね。
でも、我が家ではこれが普通なんだ。
みーんな、すごく仲が良い。
幸せな家庭だよ?
「聖理奈、大事な話があるから、座りなさい。」
お母さんに無理やりお父さんから引き剥がされる。
え…?
なに、重要な話って。
あたしは、神妙な顔つきで、椅子に座った。
嫌な話だったら、困るなぁ…
そのとき、お母さんがにっこりと微笑んだ。
「そんな固くならなくて大丈夫!!それがね、それがね!
聖理奈、あんた、girls magazinesの表紙に載ることになったのよ!!」
はぇ…?
うそ、あたしの聞き間違いじゃないよね?
それが本当なら………
「す…すごく嬉しいっ!!!」
あたしの、タレントとしての、モデルとしての人生の大昇格じゃん!
ガールズマガジンとは、若い女の子たちに人気な、ファッションやメイクの雑誌。
圧倒的な人気を誇っているんだ。