深紅の復讐~イジメの悪夢~
眩暈がして、倒れ込む。
首っ!首……!
首の喉の近くを刺されたような感じがする。
頸動脈?だっけ…。
切られた?
嘘、嘘!
あたし、死ぬ…!?
ハアハアと荒い呼吸を繰り返す。
「いや…いや……」
急いで手で首を押さえる。
手が血だらけになる。
あまりの恐怖に、目を見開いた。
涙も出ない。
あたし、あたし、死ぬの!?
いやだ…いやだよ………。
「ねぇ、これ、見た?」
愛香があたしにスマホを向ける。
そこにはひとつの動画が流れてて。
「あたしの姉…聖理奈が、すみません。ごめんなさい……。」
涙ながらに謝っているのは、あたしの妹、聖香。
「っ……。聖香…。」
やっと、あたしの目から涙が溢れ出した。
「ねぇ、松本さん。イジメをしてね、傷つくのは、いじめられる側だけじゃないの。いじめる側だって、傷つくし、いじめる側の、家族だって、すごく傷つく。松本さんはね、数えきれないくらいの人を傷つけたんだよ。」
愛香の静かな声を聞きながら、あたしは泣いた。
「あた…し、あたし……」
あたし、ずっと、誰かを傷つけていたの…?
あはは。
バカみたい。
今更気づくなんて。
家族の優しさ、ありがたみに気づくなんて。