深紅の復讐~イジメの悪夢~
愛香side
「終わった……」
狭い路地に倒れたまま何も言わなくなった聖理奈を、あたしは見つめていた。
あたしの喉から、嗚咽が漏れる。
「泣いちゃダメ。」
夜風が言う。
「だめだよ。警察が来るのも時間の問題。出来るだけ証拠を残さないように。」
あたしは、夜風に引っ張られるようにして、路地を抜けた。
「それ、とって。」
夜風があたしの手元を指す。
「これ…」
そう、ゴム手袋。
二重にして手にはめてある。
あたしは、静かにそれをとって、夜風に渡した。
あたしは、立派に犯罪に手を染めている。
たとえ、それが復讐だとしても、許されることではない。
分かっている。
「お疲れ様。」
夜風があたしを抱きしめる。
「う…っつ……」
あたしは、夜風の胸に顔をうずめて泣いた。
あたしみたいな平凡な女子高生に耐えられるようなものじゃない。
疲れたよ、あたしも。
でも…
最後まで、やるんだ。
復讐を。
あたしを傷つけた奴らを…
許さないから。
———絶対に。