深紅の復讐~イジメの悪夢~
ちがう。
そうじゃないんだ。
わたしが、嘘をつくのは、保身のため。
自らの身体を守るためなんだ…。
「ご、ごめんなさ…い…。」
「謝ったって許されねぇよ!!」
——バチンッ!
「っ……、」
叩かれた。
顔を叩かれた。
わたしは、嘘をつかないで殴られるより、嘘をついて、たとえ嘘つきになっても、自分の身を守りたい。
でも、そこには大きなリスクがある。
もしも、嘘をついていることがバレたら、もっと酷い目に遭う。
それに、嘘をついていることがバレるのが多くなればなるほど、本当のことを言っても信用してもらえなくなる。
「なんなんだ、お前は!!いつもいつも嘘つきやがって!!小学生の時からそうだったよね?友達に嘘ついてさ!」
っ…。
そう、わたしは、昔から嘘をついている。
うちの親が普通じゃないと気づいてから、わたしは、偽の自分を装うようになった。
嘘で塗り固めて、偽の自分を作った。
いつだったか…。
友達に、「アメリカのディズニーランドに行ったことがある。」って言ったっけ。
自分は、親に殴られて恐怖で震えているような人じゃない。
もっと、人の上に立つような人なんだ。
わたしは、嘘に嘘を重ねて、別の自分を作った。