深紅の復讐~イジメの悪夢~
わたしには、「あたし」の制御はできない。
そもそも、わたしには「あたし」の時の記憶がないんだ。
そう、言うならば。
———二重人格———
だから、「わたし」と「あたし」はお互いに交渉できない。
わたしは、ひどい無力感と喪失感、そして恐怖を抱えたまま、眠りにつく…。
「わたし」の頬に一筋の涙が流れる。
あ…!!
そうだ。
わたしは、またスマホを開く。
開くのは、メール。
宛先は、自分。
自分にメールを送る。
宛先:白波柑奈
差出人:白波柑奈
タイトル:「あたし」へ
本文:もう、イジメなんかしないで!!
送ると、1秒もたたずに、返ってくる。
スマホへ。
あとは、「あたし」次第だ。
イジメは、犯罪。
自分が犯罪に手を染めているなんて嫌だ。
それに、あんなひどいことをするなんて、許せない。
どうか、どうか。
「あたし」がイジメをやめてくれますように………。