深紅の復讐~イジメの悪夢~
暴露
あー、今日も学校か…!
あたしは、校門の前で、伸びをした。
校門に来ると、「わたし」は消えた。
人格が入れ替わる瞬間。
少し、ほんの一瞬だけ、「わたし」と「あたし」は、交わる。
意識が交差するんだ。
さっき、「わたし」は、あたしに言った。
———やめて。
なんのことだかさっぱり分からない。
それより、あたしは、家に帰ってから今まで、記憶が無いから、寝た気がしないんだよね。
教室で仮眠するか……。
教室には、誰もいない。
「わたし」はいつも早起きだ。
…多分。
ああ、きっと、母親から早く離れたいんだよね。
知ってるよ。
あたしも、中学の1、2年くらいまでは記憶を共有してるから。
母親が最悪な奴だってことくらい知ってるよ。
身体中についているアザがきちんと物語っている。
大丈夫だよ、わたし。
家で、傷つけられている「わたし」の分も、学校で晴らしてあげるから。
学校では、理想の自分だよ。
人の上に立つ、「あたし」だもん。
ぐぅぅ…
お腹が鳴る。
このお腹の減り方は……
きっと、朝ごはん抜きで追い出されたんだな…
お疲れ様、「わたし」。