深紅の復讐~イジメの悪夢~

あたしは、ぶーちゃんの席を見た。

あたしがばら撒いたゴミは、片付けられている。

ぶーちゃんは、じっと下を向いて、動いていない。



分からない…。

だれが、鍵を壊したの…?



ぶーちゃんのことを考えていたあたしは、彩綾とななみん、それに麗華姫が目配せしていることに気が付かなかった。



「先生!!」



麗華姫が手をあげる。



「なんだ?」



佐藤の厳しい声。



「あの、昨日ダンス部のあたしたちの練習班が、体育館と、体育館倉庫の掃除と片付けをしていました。」



佐藤の眉がピクリと上がる。



「続けて。」



麗華姫は、立って話し始めた。




「あたしたちの練習班は、あたし、彩綾ちゃん、奈々美ちゃん、柑奈ちゃん、愛香ちゃんです。
そのうち、あたしと、彩綾ちゃんと、奈々美ちゃんは、バレエのレッスンがあったので、先に帰りました。
そうだよね?」



彩綾とななみんが頷く。


「ん、間違いない。」

「そうだよ、残っていたのは、柑奈ちゃんと愛香だよ。」



麗華姫がにっこり笑う。

その顔を見て、あたしの頭に警告音が鳴り響く。

まずいことになる。

本能が感じ取っていた。

あたしの背中に汗が流れる。



麗華姫の、あの顔は、まずい。

人をいじめる時の、純粋な、楽しそうな顔だ。

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