深紅の復讐~イジメの悪夢~
制裁
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「じゃあ、鍵を壊したのも、盗んだのも、全部白波さんなんだね?」
「………はい。」
あたしは、校長室で尋問を受けていた。
校長は、フーッと息を吐く。
あたしは、もうどうでも良くなって、全てを受け入れた。
尋問はかれこれ1時間近く続いた。
あたしが否定したのは、唯一、
虐待のことだった。
「もう一度聞くけどね、本当に親に暴力を振るわれたりしていないの?」
カウンセラーとかいう人があたしに尋ねる。
「いいえ。一度も暴力を受けたことはありません。」
あたしは、しっかりと答えた。
あたしは、どうしても「あたし」を手放せなかった。
ひび割れた仮面でも。
あたしは、守りたかった。
「そう…。何かあったら言ってね。私たちは、白波さんの味方だから。」
結局カウンセラーの方が折れて、尋問は終わった。
……イラつくんだよ。
その、相手を分かっているフリをするような、気色悪い同情的な声。
カウンセラーだろうがなんだろうが、みんな同じ。
分かっているような顔をしながら、心の中では見下して、いらない同情をして。
そういうのが、1番ムカつくんだよ。
そういうのが、1番辛いんだよ…。