深紅の復讐~イジメの悪夢~


——いつのまにか眠っていた。

いつもは、こんなに眠くなることはないのに。


今日は、家がやけに静かなんだ。


お母さんが来たりしない。

なんでだろう………。



———キィィ…



玄関のボロいドアが軋む。

わ…。

お母さん、帰ってきた。


あれ??

でも、おかしいな。

お母さんなら、帰ってきた途端、大騒ぎするのに。



わたしは、不思議に思い、部屋から出た。

真っ直ぐに続く廊下。

玄関は目の前にある。




「へ…………???」




思わずわたしの口から変な声が漏れた。

そこに立っていたのは、あの、「あたし」がいじめていた、彼女。


清水愛香さんだ。




「清水…さん?なんで……?」

「あ、白波さん、お邪魔するわ〜。それにしても、白波さん、なんともボロい家に住んでいるのね〜。」



カチン…

いくら「わたし」でも、この図々しい客には腹が立った。

なに?人の家に来て、「ボロい」?

ていうか、なんで勝手に上がっているの?


なんなの…この子…。


清水さんは、呆気に取られているわたしの横をすり抜け、リビングに直行する。



「夜風〜、来たよ!」



よ、夜風?

あ、その名前見たことある。

成績トップの転校生だ。

なんで…、八神夜風と、清水愛香がここに……??


謎は、深まるばかりだった。

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